Macrophage II の日記

ヨット(BW-33)のレストア記録を中心にした独り言

レストア第2期(キャビン内装 その17)

チャートテーブルは必要か? 

昔、といっても今から30年ほど前には、電子的な航海機器は殆どなかった。

ロランという米軍の運営する航行システムの解析ができる大型の機械を乗せているひともいたが、沿岸では、クロスベアリングなどを基本として位置をだすのが基本だった。

心配症の私は、1時間ごとに灯台や島や半島などを目印に、方位を交差させながら位置を推定しながら走ったものだが、多少視界が悪くなることがあったとしても、最新の確定位置からの推測航法で走っていて困ったこと(=迷子になること)は無かった。

ただし、正確な方位を計る必要がありコンパスは、それなりのクオリティのものを複数もっている必要があった。

ロランは、2点間の距離の差が一定の点の軌跡は双曲線であるという法則を利用している。2つの基地局から同時に発射された電波の到達時間の差を測ることで、平面(=海図)上での(位置の)双曲線が決まる。そして、複数の基地局の電波をつかって複数の双曲線の交差した点を船の位置として確定させるか、あるいは、ハンドベアリングで求めた1本の直線(例、ある島との方位)と1本のロラン双曲線との交点から位置を求めた。双曲線がたくさん入ったロランチャートなるものが販売されていた。

ようはヨットで位置をだすのは、多少の知識と投資(チャートやらコンパスやら、場合によったらロランのような大型の航海器具)が必要だった。

1990年の12月、大分港から、メルボルン大阪レースへ出場するために、1艇のヨットが出港した。そのとき、船を見せてもらったとき、はじめてGPSなる巨大な箱物装置をを見た。

値段を聞いてびっくりした。100万円くらいしたような話だったと記憶している。

いまでは、スマホがあれば、世界中どこにいても迷子にならない。

いつのまにか、チャートテーブルいっぱいに広げたチャートと睨めっこしながら、必死になって位置をだす必要がなくなってしまった。

しかし、それは便利であるが、ヨットマンの楽しみを一つ奪ってしまった。

 

チャートテーブル (かるく磨いたあと)

チャートテーブル(周辺の塗装がおわったとき)