Macrophage II の日記

ヨット(BW-33)のレストア記録を中心にした独り言

マーメイド号への再認識



マーメイド号をじっくり見てきた。

すでに論じられているのかもしれないが、再認識しこと。

1)船首はほぼ直角に水面に入っている。そのことで、水船長が、極限まで最大化されている。つまりスピードをあげられるということ。
2)合板艇なので、シアーがはいるが、そのことで却って船体全体のボリュームが増していている。つまり水面近くまでビーム(横幅)が落ちない。

3)実は軽量な船である。合板製だが、いまの合板とはまったく異なる素材と思ったほうがよい。しっかりしたより”ソリッドな”素材で合わせてあり、造船所の技術だろうが、局面での曲げも芸術的に美しい。合板を採用することで、船体の軽量化が図られている。超軽量艇といったほうがよい。しかし、決して”やわい”船ではない。

4)軽量なのは、ウォーターラインの下の構造からもわかる。沈んでいる部分は浅い。これは、シアーぎりぎりまでビームを落とさずに設計されていることとも関係している。前からみると、丸っこく見えるが、海面下の丸みある船だと誤解してしまうが、船底は非常にフラット。

5)船尾にかけては、トランサムは絞り込まず、ギリギリまでビームを維持。のりとしては、船尾付近の構造は、浮力のあるプレーニングボードが追加されているの変わらないかもしれない。船尾の下から船底をみると、フラットな構造なのがよくわかる。

横山晃さんの船は、重たい外洋艇というイメージがあったが、すくなくともマーメイド号、キングフィッシャー型については、現代のレーサーの当たり前になっている新しいコンセプトが満載されていて、そのコンセプトを太平洋横断という形で実証したのが、堀江さんの大航海という評価も必要だと思う。

実際、水船長約5メートルのヨットが94日で太平洋を横断したのは脅威的に速いと思う。

 

 

ウォーターライン付近。シアーぎりぎりまでビームが落ちてないのが分かる。

窓と、その前方にあいた水抜きの穴。合板の断面が観察できる。ホームセンターで売ってるような合板ではないのが分かる。

 

デッキはシンプルな構造である。レールや、ハッチはチーク製。

 

船尾付近までずっとフラットなままビームも維持される。

後ろからみると、まるで最新のレース艇みたい。

こうやってヒールして走ったのだろう。この角度からみると、丸っこいイメージをもつが、とてもフラットで軽量化された艇なのだ。

入港直後と思われる。水面下の構造は、イメージと違い、とてもフラット、戦闘的な軽排水量艇。