レース翌日の早朝に帰路についた。
若干でおくれて8時15分の出港。
豊予海峡(速水瀬戸)の潮は午前中連れ潮で、正午ごろ潮止まり、その後、逆潮になる。
なので、ほとんどの艇はすでに出港していた。
残ってる艇は、もう1泊するのかもしれない。
予定では、ぎりぎり潮止まりまでには佐田岬を通過できるだろう。
予報は雨、そして実際に雨。
低気圧が通過し、温暖前線の中を通過するのが分かっていたのだが、仕方ない。
結局、往復ともカッパ着込んだ回航になった。
そうこうしていると佐田岬がちかづき、次第に風と波が強くなってきた。
すこしでも艇速あげないと岬をこえられない。
機帆走で、ぶんぶん7ノットで走れるだけ走る。
その時点で、岬で大波が待ち受けているともしらず、進んでいくのだった。
視界がわるく佐田岬の手前でも高島を目視できない。
高島の北東では、南流と南風がぶつかりあい、白波をたてている。
南流とは南に向かう潮、南風とは南から吹くかぜ、つまり潮と風の向きが逆なので、ぶつかりあうと大きな波をつくってしまう。
地元の漁船が、潮の間を縫うように走り抜けていった。
Macrophage IIも潮目をさけて北上しようとしたが、南流につかまってしまった。
あれよあれよという間に、連続的に押し寄せる白波のほうに吸い込まれていく。
セオリーどおりだと、波に向かって進むべきなのだろうが、帰れなくなるので当て舵をいれながら耐え忍ぶのだが、艇速は1.5~2ノットしかでない。
そのうち、横っ腹(左舷)に白波があたったと思ったと同時に二発目がハルを直撃した。
船体は大きく傾いて、振り子のようにふりまわるが、その波長と同期するように、大きな波がフリーボードを超えてコックピットに入ってきたのだ。
ライフジャケットとハーネスをつけていて正解だった。
この状態だとその場でフリーズするしかなく、キャビンに入るのも無理だし、ましてハーネスを悠長につけている余裕はない。
ガチャ〜〜んという音がする。激しいローリングでキャビンの中のいろいろなものが飛んでいる。
チャートテーブルの下には、各種のボルトや、ブロックなど、金属系の部品の予備がたくさん入っているのだが、引き出しがはずれて、それが散乱している。
前日のレースでは、軽い船が速くていいなあとも思ったが、艇は潮流と風と波に翻弄されながらも、最後はバラストが効いてきて艇はしっかり復元してくれた。
引き出しは、ショックコードで飛び出さないようにしているのだが、今回油断してロックしていなかったのだ。反省。
岬をまわると、視界はとても悪いが、マリーナまでは17マイル。
行きも帰りも雨と霧で快適な回航ではなかったが、久しぶりのクルージングを満喫できた。
また来年も参戦したい。