Macrophage II の日記

ヨット(BW-33)のレストア記録を中心にした独り言

レストア第2期(キャビン内装 その15)

フォクスル(キャビン船首付近の”三角コーナー”)の床は、もともとが合板をはってあった。

ちなみにメインキャビンの床は、全てソリッドのチーク板。

(いまこのボリュームでチーク板かったら、いったい幾らするのだろう? 私の小遣いでは買えないのは明白である。)

 

このヨットは、放置している間に、大量の雨がはいって、キャビンは半分水没していたので、腐るべきところは全て腐っていた。

腐ってなかった素材が3つある。ひとつは当然ながらFRP、ようはプラスチック部分。

FRPの寿命については諸説あるが、50年たっても腐らないのを、我が艇が証明しているとも言える。

二つ目はステンレス鋼材(キールボルトはまったく問題なし)、そして3つ目が、チーク材部分。

メインキャビンの床は、おそろしく汚れていていたが、チークだけは、プラスチック並に耐水性があった。水に使ってるくらいなんてことない素材だということだろう。

Macrophage II に使われている合板は、2種類ある。ひとつは、オリジナルと思われる合板で、例えばみえない部分のバルクヘッド(船内隔壁)や、内装部分の構造として使用されている。造船所(リンフォース工業)で使用したのは、いわゆるマリン合板というやつかもしれない。というのが、積層されている薄板が比較的厚みがあり、立派な板なのだ。当時の接着剤の技術の限界なのか、かなりの部分で剥離がおきていたが、積層されている薄板そのものは、基本腐ってなかった。なので、強度的な問題がないのであれば、剥離した箇所をそのままエポキシ系樹脂で固めてしまえば、比較的立派な合板として復活できた。

ふたつめの合板は、そのへんで売ってる合板。ようは、マリングレードではない合板。

時代ごとに補修などで使われたものがそれである。

 

で、フォクスルの話に戻る。Macrophage II のフォクスルには、ダブルバース(寝床)が増設されていて、その下のスペースをセイル置き場にしている。その床が合板だったわけだが、復活できないレベルで痛んでいた。

ホームセンターで売ってるような合板は、もともとの素材は、安価な木材なのだろう、船で水分を吸ってしまうとスポンジのようになり、場合によっては腐敗する。

なので、こと木材については何事にも高級素材を使うにこしたことないのだろうが、現実的に、チーク材は入手不能(売ってないし、売ってたとしても庶民は高くて買えない)、マリングレード合板なんて国内で製造しているところがあるのかさえ不明である。というわけで、ホームセンターで売ってるような合板にお世話になることは致し方ないのだろう。

個人的な意見であるが、防水処理さえできれば、ホームセンターの合板も、マリングレード並かそれ以上の耐水性があるはずだと思う。

合板も、専門店が存在する。ネットで探したら数件以上ヒットするだろう。

綺麗に仕上げたいものがあれば、家具とかに使うような上等なものを送ってくれる。

専門店の場合、寸法どおり、ミリ単位でカットしてくれる。

Macrophage IIのテーブルは、専門店に、”テーブル天板用にできるだけきれいなのを”とお願いしたら、本当に美しいシナベニアをきれいに切って送ってくれた。

強度がある程度あったほうがよい部分には、邪道かもしれないが、コンパネは悪くない。

コンパネは、耐水性はよいはずなのだが、本来内装には使わない。正確には使ってはいけない素材のようだ。その理由のひとつに、安全性がある。

最近の建築物は、ホルムアルデヒド有機溶媒のような有害物質について規制があるようで、いわゆるコンパネは、ホルムアルデヒドがでるとかでないとか、、、そんな話がネットにたくさん出てくる。

ですが、、、私自身、それを言い出したら、若い頃、職業訓練の中で、ホルムアルデヒドの原液から発生するホルムアルデヒドのガスに長時間暴露されたので、いまさら超微量なホルムアルデヒドのこと言われても、というのが本音の部分。

シレンにしてもトルエンにしても、ヨットのレストア中には、シンナーやら樹脂そのものやら暴露されつづけているわけで、いまさら、、、というのがあって、気にせず、コンパネを船内の一部に採用しました。

 

話が長くなりましたが、要は、コンパネ(+ニス塗装)でフォクスルの床板を再建したということです。コンパネも、ニスや、場合によっては、エポキシで固めているので、へんな化学物質は封じ込めに成功しているはず。

フォクスル床材の再建(コンパネにニス塗装)

 

コンパネや合板の表面は意外と美しく、ニスを塗るとなんとなく高級感がでる。

メインキャビンのバースの下は物置になっていて、その蓋(つまりバースの土台)もラワン合板を専門店から仕入れ、ニスで仕上げた。

ニスを塗ることで艶がでるが、むしろいろいろと水気の多い船内なので、防水という意味も大きいように思う。多少濡れても、水が染み込むことはないし、すぐに乾く。

右舷バース下の物入れの蓋(ラワン合板+ニス)
ちなみに下に写る黄色い機械は、中国製充電器