Macrophage II の日記

ヨット(BW-33)のレストア記録を中心にした独り言

番外編 カズワン沈没に想うこと その6 バルクヘッドのこと再び

マスコミも一般人もバルクヘッドに穴が開けられていたと批判する。

よいか悪いかと言われれば、よくないだろう。


ではありえない話なのか? 

割と普通にバルクヘッドに穴があったりしないだろうか?

そもそも穴がないと配管できないし、大きなスペースであれば、そこに人間が入れないことになる。


水を遮断するには、隔壁ごとに作られる空間を、すくなくとも喫水レベルより随分高いところまで水一滴通過できな構造にしないと意味がない。

それがパーフェクトにできている小型船舶がどれだけあるだろう。



デッドスペースにしたらしたで、ビルジ(船底にたまる水)が抜けなくなる。最悪だ。


それを解決するには、それぞれのスペースに何個もビルジポンプをつけたらよいのか?

それも最終的にはあまり役に立たないかもと思う。

カズワンもそうだったように、船内に大量の水がはいると、電気系統が死ぬのは必至なのである。バッテリーなどを天井に吊るせば別だろうが、重たい鉛電池でそれはありえない。

Macrophage II は、どうか? 30cm以上の水が溜まったら、メインのバッテリーもハウスバッテリーも瞬時に死ぬだろう。すくなくとも電動ポンプはその時点で使えない。

Macrophage II でそれ(電源喪失)が起こるとすれば、私の計算だと、数トンの水がはいってくるときだ。
Macrophage IIには、電動ビルジポンプの他に、手動式ビルジポンプ2台、一台を船内、一台を船外に設置している。
意図的に手動と電動を組み合わせているが、大量の水が入ってきたら、電動だろうが手動だろうがビルジポンプでどうかできる状態ではないだろう。

実際、時化た海では、手動ポンプで排水するにしても、私ひとりでは無力かとおもうが、電源を失っても頑張れば排水できるという安心感はある。一方で、電気がある間、つまりエンジンが回転し発電可能でかつ、バッテリーが水没しない間は、電動ポンプでがんばってもらわないと無理かと思う。

電源喪失に至る大量の水が入る前になんとか水を止めるか、さもなくば船を捨てるしかなくなる。
正直、想像したくない光景だ。

 

カズワンの事故をうけ、ひょっとするとバルクヘッドに関する規制や検査が厳しくなるのかもしれない。


私は、この道のプロではないので、とんでもないことを言ってたとしたら御容赦いただきたい。あくまで私見である。

バルクヘッドがもたらす船体強度の話はおいておいて、こと水を遮断するという目的について言えば、中途半端なバルクヘッドであれば、かえって無いほうがよかったりしないか?



カズワンのバウのハッチからどんどん水が入ってきているとして、もしそれがわかったとしても時化た状態で、デッキに行くのも困難だろう。

そして最悪なのは、船内からハッチを閉めることもできないのだ。

なぜなら、中途半端なバルクヘッドに阻まれ、人間が中からハッチに到達できない。

しかし、中途半端なバルクヘッドは、本来の目的である水を遮断することはしてくれないのだ。

同じような理屈で、インナーハルという、外壁と船室の間に設置される壁がある。船内のみためはよくなるが、船底を直接みることができなくなる。BW-33には、インナーハルはない。船底に損傷がおよび、水を止める必要がでた際でも、船底のほぼ全てに、船内からアプローチ可能である。