チークは腐らないというが、さすがに20年放置したら傷みがひどかった。
チーククリーナーはいろいろ売られているが、2液性のものを使うと楽ではある。
そして確実ににきれいになる。
米国の某社が売ってる二液クリーナー&ブライトナーの性能表をみてみると、A液が、水酸化ナトリウムで、pH 12.5、B液は、塩酸とアルコール、エチレングリコールの配合液でpH=1とある。
強塩基と強酸の組み合わせだ!!
アルカリで柔らかい傷んだ木部を溶かし、そのご強酸で中和すると言う”まぜるな危険”を通り越した実に野蛮な方法なのだ。
以前あるプロの方(有名ディーラーさん)からチークの洗浄にはシュウ酸がよいと聞いたことがある。たしかに、シュウ酸をつかうとよいのだろうが、金属を溶かしかねないので、金属部品のあるデッキでは使わないほうが良いと思う(私見です)。
実は、今回レストアしたチークコクピットだが、20年以上前に何度も二液で洗浄している。
なんとなくであるが、チークの強度がおちた原因は、20年前に強いアルカリをぶっかけてたことによる影響は皆無ではないのではないかと疑っている。
とおもいつつ、誘惑に負けて、またもや二液で洗浄してしまったのだが、、、、
なぜ二液が、強度を落とすかについて、そもそも強度を落とすのかも明確ではない。
ただありうるとしたら、木目の柔らかい部分をアルカリと酸で溶かしてしまうので、構造的にスカスカになってしまうのではないかと疑っている。
というのが、傷んだチークを研磨してみると分かるのだが、柔らかい木目は、どんどん削れていくのだ。そして、木目の硬い部分は残るので、へんな研磨をしていくと、凸凹になるし、フラットな面を作ろうとすると、底無し沼のように、いつまでもスカスカに傷んだ部分がでてくるのである。
場合によっては、人が踏むと割れるだろうと思った。
そして強度を回復させるには、抜本的な改造が必要だと判断した。
チークの裏面全体に、ガラス繊維(クロス)を2枚ほど追加し、エポキシ樹脂で固めて、表面は、化粧をほどこして誤魔化すことにした。
この時点で、無垢のチーク材とは呼べなくなるが、なんの躊躇も感じず、作業を開始した。