これまでのストーリーだけだと、ずっと内装をやっていたかのような印象があるが、実はそうではない。
複数のプロジェクトが同時進行しているわけで、実際、最初にとりかかった大きなプロジェクトは船底のゲルコートのリセットであろう。
FRPは、何年もつのか? まだ結論はでてないのかもしれない。
少なくとも、リンフォース工業のブルーウォーターシリーズは、50年以上前に日本で最初にFRPを材料に量産されたヨットであるが、Macrophage II も含めていまだに全国各地に浮かんでいる。
武村洋一さん(Macrophage IIの旧オーナー、元リンフォース社員)が、「古い旅券 」(Kindle版)という著作を残されていて、その中にリンフォースがFRPヨットの製造に取りかかる話が出てくる。
実におもしろい話であった。
武村さんは、米国のボートショーを視察している。
おそらく1960年代後半の話ではないかと思うが、その中で、当時のアメリカ人が、ショーに展示されているヨットをみてチェックするのは、居住スペースであり、帆走性能ではない、ということに驚いた、みたいな話がある。
BW-33は、最新鋭のクルージングヨットとは比較できないが、それなりの居住スペースが確保されているのも、そのせいだろう。
私は武村さんと面識がない。武村さんは、数年前に他界されたようで、お話をうかがうことができず残念だ。
いまから50年以上前、リンフォースは、それまで木造艇しかなかったヨットを、プラスチック樹脂で作ったということである。
一つ言えることは、FRPは、よくも悪くも腐らないのは確かだろう。
オスモシスの問題は、よくわからないが、オスモシスで沈んだ話を聞いたことはない。
仮にオスモシスが出ていたとしても、適切に補修していれば、大丈夫なのではないかと思う。
ちなみに、Macrophage IIの船底のゲルコートは、こまかい髪の毛のような網状のクラック(spider crack) が多発していたが、すくなくともメジャーなオスモシスはないと判断した。