20年ほど前だっただろうか、米国から大阪へ出張した。
米国から来日したメンバーは30人とかいたと思う。
来日メンバーで日本人は私だけだったので、なぜか皆さんの案内係のようになってしまった。
大きな商談が終わり、寿司をたべにいこうという話になった。
日本の支社の方で、大阪出身の方がいて、私も含む出張者5、6人を梅田の寿司屋に連れていってくれた。
おいしいお寿司だったが、最後に赤だし、そしてべったら漬けなるものが出てきた。
東京では寿司と一緒に味噌汁が出てくるが、私の生まれ育った熊本では、寿司屋といえば赤だしだった。ところが、その赤だしだが、普段の食卓で並ぶことはない。なぜか寿司屋で出てくるのだ。
大阪の寿司屋で赤だしが出てきたので、そうか、ひょっとすると熊本の寿司屋は、大阪で修行した人だったのか、と思った。
そういう背景があって、寿司を食べたあとに、赤だしがでてくると懐かしいし、これこれ!っと思う。
それはそれでよいのだが、大阪の寿司屋ででてきたべったら漬けが、アメリカ人同僚にとてもうけた。本当においしいものはグローバルに通用する。
実は、そのとき、私自身が、べったら漬けを初めてたべた。
寿司職人に”これ何ですか?”と聞くと、”べったら漬け”という。
大阪にはおいしい漬物があるものだと感心して、以来、記憶が止まっていた。
昨夕は、会議があったので、羽田空港から日本橋の会議室へ直行した。
日本橋は、たぶん京急線でいったほうが便利なのだろうが、途中で地下鉄になってしまって景色がいまひとつなので、私は遠回りでもモノレールで湾岸の景色をみて、JRで神田まで出て、運動もかねて20分かけて日本橋までの古い江戸の痕跡がのこる街並みを探索しながら移動している。
いつもなにか大きな発見があるがあるのだが、今回の発見は大きかった。
会議場所であったビルを取り囲むように、数ブロックにわたって”べったら市”なる露店群が展開し、もじどおり”お祭り騒ぎ”となっていた。
そして、なんとそこで売られていたのが、べったら漬けなのだ!
え? べったら漬けって大阪じゃないの? と1秒ほど思った瞬間に気がついた。
べったら漬けのオリジンは、日本橋だったのか。知らなかった。。
宝田恵比寿神社の”恵比寿講”に関連した市らしい。
そもそも恵比寿講ってのも、九州だと馴染みがないが、これだけ情報があふれ物流が発達した現代においても、文化が薄まらないのは良いことだと思う。