アンカリングについては、疑問が多い。
外国のガイドや書籍などに記されているアンカー、ロード(ロープ)、チェーンのサイズはいったい何を前提にして書かれているのか?
というのが、彼らは、港ではない入江で本気でアンカリングする。
それも1泊とか2泊とかではなく、へたすると何ヶ月もアンカリングしている。
長期のアンカリングであれば、前線の通過や、場合によってはハリケーンをやり過ごすことも想定しているだろう。
それに対して、我が国の沿岸の事情は特殊であり、そもそも夜間に停泊灯をつけてアンカリングする行為は、国道あるいは高速道路の路肩でハザードランプをつけて車中泊をする行為に等しい。漁船にぶつけられたら、きっとそんなところで碇打って寝てたお前が悪いと言われるだろう。
仮に入江などでアンカリングしたとしても、昼間に昼食でもたべながらのんびりして、夜には撤収というのが一般的だろう。
ちなみに英語圏では、そのような使い方のアンカーを”Lunch Hook”という。
”Lunch Hook”は、強風を想定していないし、走錨しても気がつくだろうから、通常必要なアンカーよりは軽いもので済ますということだ。
我が国でのアンカーの用途は、そもそも”アンカリング”ではなくて、多くは防波堤のある港での係留用だ。
その港内係留用アンカーにも3つほど種類があると思う。
ひとつめは、定地係留用、ふたつめは、一時係留用、三つ目は、ビームアンカー用。
33フィートのヨットに対して教科書どおりにアンカーを選べば、15キロのダンフォース、8ミリのチェーンを10メートル、14ミリのロープ100メートルとかだろうが、それは、長期アンカリングや長期係留にたえるミニマムを言っているような気がする。
私がいま探しているのは、主としてLunch Hookとして使えて、ケッジアンカー、港内での1泊程度の槍つけ用アンカー、そして緊急用予備アンカー、そしてメインのアンカーに対するモニター(重り)としても使えるものである。
ということで、7kgのなんちゃってダンフォースを通販サイトでオーダーしてしまった。
フルークとシャフトの角度が30ー40度で、回収できない場合でも諦めがつく価格が条件だった。